「のどの衰え」と健康長寿には密接な関係がある。シリーズ累計40万部のベストセラー『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』(飛鳥新社)の著者で、西山耳鼻咽喉科医院理事長の西山耕一郎医師が指摘する。
「『嚥下』『発声』『呼吸』という、のどの3大機能はいずれも生命維持と深くかかわります。年齢とともにのどの機能が衰えると生活が難しくなり、健康長寿を妨げる。人間は“のどから衰える生き物”なのです」
中でも影響が大きいのが嚥下機能(飲み込む力)の低下である。
「嚥下機能が衰えると、飲食物や唾液が誤って気管の奥に入る『誤嚥』が起こり、それが肺に影響すると『誤嚥性肺炎』を発症します。咳が増えて食事ができなくなり、栄養不足や体重減少による衰弱が進んで寝たきりになったり、最悪の場合は命を落とすこともあります」(西山医師)
肺炎は日本人の死亡原因3位で年間10万人以上が死亡する。死亡者のほとんどが65歳以上で、肺炎で死亡した人の約9割が誤嚥性肺炎によるものとされる。
命にかかわるのどの衰えを防ぐカギとなるのが「喉頭挙上筋群」、すなわち「のどぼとけの筋肉」を鍛えることだ。