東京五輪マラソン代表3枠のうち2枠を“一発勝負”で決める初の試みは、波乱の結果となった。9月15日のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)で、中村匠吾(27、富士通)が2時間11分28秒で優勝。2位の服部勇馬(25、トヨタ自動車)とともに東京五輪の男子代表に内定した。
日本記録を持つ大迫傑(28、ナイキ)は3位に終わり、前日本記録保持者の設楽悠太(27、ホンダ)はスタート直後から“大逃げ”を打つも30kmを過ぎて失速。14位に沈んだ。
「本命視されていた2人が代表権確定を逃したことにより、『残り1枠』の争いが熾烈を極めることになりそうです」(スポーツライター・酒井政人氏)
3番目の代表枠は、12月の福岡国際マラソン、来年3月の東京マラソン、びわ湖毎日マラソンの3レース(MGCファイナルチャレンジ)の結果で決まる。大迫の持つ2時間5分50秒の日本記録を更新する選手が現われれば代表権獲得となり、誰も更新できなければMGC3位の大迫が代表になる。前出・酒井氏の解説。
「福岡国際は海沿いの風が、びわ湖毎日はラストの比良山系からの向かい風があり、好記録は期待できない。そのため、設楽選手をはじめ、昨年のアジア大会を制した井上大仁選手(26、MHPS)ら実力者が東京マラソンに揃うでしょう。30km地点まで日本記録を上回るペースメーカーがつくと考えられ、記録は狙いやすい」
外国人選手も出場するため、後ろについて終盤でスパートをかければ、「天候次第だが、特に設楽選手には記録更新の可能性が十分にある」(同前)という。