警察や軍関係の内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た警官の日常や刑事の捜査活動などにおける驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は暴力団員のお務め事情について元組長が明かす。
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9月、六代目山口組の執行部組織に防弾チョッキの着用が伝達された。山口組が六代目山口組と神戸山口組に分裂してから4年。さらに神戸山口組が任侠山口組と分裂して2年。3派による抗争がここにきて再燃する気配を見せ始めたのか。
8月20日午後、弘道会系組織の野内組傘下近藤組組長が長野県飯田市にあるコメダ珈琲の駐車場から、任侠山口組の四代目竹内組組員らに拉致され、激しい暴行を受けた。21日の夜には、三代目弘道会系関連施設で当番をしていた藤島組組員が、白い軽自動車を駐車しようとして、追跡してきた原付きバイクの犯人に銃撃された。立て続けに狙われたのは六代目山口組の中核組織である弘道会だ。
10月には六代目山口組若頭、二代目弘道会会長高山清司氏が出所してくる。高山氏は六代目山口組のナンバー2、彼が服役したことで山口組が分裂したといわれるキーマンだ。恐れられている男の出所を目前にして、各組織の思惑が新たな渦を巻き始めてもおかしくはない。
「チョッキ着用の伝達があったすぐ後、六代目山口組の十一代目平井一家の本部に拳銃2発が撃ち込まれた。だが、山口組が分裂した頃ほどの危機感はない。あの頃はみんながチョッキを着用していたからな。元々は身内同士で分裂しているので、今回も面倒臭そうだ」
そう話すのは、暴力団の元組長だ。どうやら事件の影響はあまりないらしい。
「それより高山氏の出所を目前にして、六代目山口組や三代目弘道会では迎える準備が進んでいると聞いている」
そう聞けば任侠映画のシーンのように、刑務所の前にずらりと組員が並んで出迎えるのだろうか? 出所祝い金はあるのか、どれくらいの額になるのか…と、下世話なことが気になってくる。
「出所の際は、各組はもちろんのこと、他団体や個人的にもそれなりの額が見舞金、お祝い金として出される。高山氏でいえば、ナンバー2という立場もあり、お祝い金の祝儀は億単位になるだろう」
億単位とは驚きだが、元組長はそれが忖度だと笑った。
「祝儀不祝儀はヤクザの義理。誰かの顔で人を呼んで金を集める。これが義理だ」
祝儀不祝儀の相場は5万~20万円。六代目山口組の場合80団体ほどある各組織から20万円ずつとしても1600万円。弘道会の看板があれば億単位になるという。