桜のジャージに胸を躍らせている人も多いはず。一生に一度の戦い、造詣が深くなければ楽しめないわけではない。コラムニストの石原壮一郎氏が指南する。
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ラグビーワールドカップが日本にやってきました! ヤーヤーヤー! 連日、肉弾相打つ激戦が繰り広げられています。会社でも居酒屋でも家庭でも、たくさんのニワカファンが声援を送り、もっともらしい見解を熱く語っています。なんて素晴らしいのでしょう。ニワカを巻き込んでこそ、ニワカも楽しめてこそのワールドカップです。
せっかくのチャンスですから、ニワカはニワカなりにワールドカップを満喫したいところ。ニワカのひとりとして、世界のトッププレイヤーたちに敬意を表しつつ、ニワカとしての美しいあり方を探ってみたいと思います。
●ニワカのあり方その1「スタンダードにワールドカップを楽しむ」
もっともお手軽で手堅いのは、四の五の言わずに日本代表チームを力いっぱい応援することです。9月20日のロシア戦に快勝し、まさに今日は世界ランキング1位のアイルランドと激突。あまりにも大きくて厚い壁ですが、たとえはね返されたとしても、果敢に立ち向かった選手たちの健闘を称えましょう。
もしも大金星をつかんでくれたりしたら、どれだけ興奮できることか。これまでラグビーにまったく関心がなかったとしても、勝ち負けに関わらず、十分すぎるほどの感動を味わうことができます。スポーツとは、なんてありがたいのでしょう。
10月5日にはサモア戦、10月13日にはスコットランド戦があります。予選リーグの突破を祈りつつ応援して、見事に決勝トーナメントに勝ち進んでくれたら、その嬉しさはいかばかりか。仮に残念な結果になったとしても、批判したり敗因を分析したりなんておこがましいことをする必要はありません。全力で戦った選手たちに拍手を贈って、応援できたことや自分の心の広さに深い満足感を覚えるのが、ニワカとしての楽しく美しいスタンスです。
ラグビーでよく言われる「One for all, All for one(ワンフォーオール、オールフォーワン)」の意味やそもそもの由来、ラグビーとサッカーとでは審判に対する態度が違うことなど、ラグビーならではの「ちょっといい話」もニワカでたくさん仕入れましょう。ワールドカップの話題が出たときに「ラグビーってさあ」と披露すれば、誰もが何となく聞いたことがある定番の話だけに、いいこと言った満足感やうなづき合える連帯感を同時に味わうことができます。
あるいは、いつもは何でも野球にたとえる癖がある人は、部下に「そこでトライを決めなきゃ」とか「スクラムを組んで押し切ろう」などと、何でもラグビーにたとえてみるといいかも。望んでいるかどうかはさておき、人のよさやお茶目さは感じ取ってもらえそうです。ただし「パスをつなぐ」だと、ラグビーなのかサッカーなのか判然としません。