空前の終活ブームで“生前遺影撮影”という言葉もよく目にするようになった。遺影といえば、葬儀の準備で初めて気づき、慌ててアルバムをひっくり返し、集合写真を引き伸ばしたり、免許証のにらみ顔写真が使われたり。
でもそんなことは、今は昔。自分の人生最後のセレモニーのため、自ら素敵な写真を準備する人が増えているという。
その火付け役の1つ、東京・巣鴨の『えがお写真館』には、全国各地からの来店者が月100人を超えるという。できあがった写真はもとより、そのプロセスが「最高に楽しい!」と評判なのだ。
◆素敵な自分に気づき、ときめく“人間力”
『えがお写真館』に展示されている写真は、どれもイキイキとしていてうれしそうだ。撮影現場を楽しんでいる息遣いが聞こえてくるようである。
最初は、宣伝用に撮られたプロのモデルの写真かと思った。写真館で、しかも普通の高齢者がひとり撮られるとなれば、緊張もするだろう。そんな素人の表情とはとても思えなかったのだ。後から、それらが一般の来店者の写真と聞いて、大いに驚かされた。