患者数が2800万人と言われる腰痛は、抜本的な治療法が限られるのが悩ましいところ。もしかしたら解消策は、病院や整骨院などではなく、日常生活のなかに見出せるのかもしれない。
腰痛に関する最新の研究とともに、日常生活のなかで「やっていいこと」と「ダメなこと」を腰痛の名医たちに聞いた。
最近の様々な研究結果から、腰痛が起きたときには安静にするよりも、普段通り動いたほうがその後の回復が早いことが分かってきている。世界の多くの国の診療ガイドラインでも同様だ。
ここから考えられるのは、痛みから腰を庇うために取る姿勢や行動は、腰痛改善を悪化させる可能性が高いということ。
腰痛持ちの人は、背筋を伸ばすと痛みが起きるという恐怖感から、だんだん前屈みになり、狭い歩幅で歩きがちだ。
しかし、関東労災病院主任理学療法士でコンディション・ラボ所長の園部俊晴氏は、この歩き方がいけないと指摘する。
「慎重に歩こうと歩幅を小さくすると、歩くスピードが落ちて、逆にバランスが悪くなります。自転車をゆっくり漕ぐとバランスを取るのが難しいのと同じです。
歩く姿勢は、頭のてっぺんを天井から糸で吊るされているようなイメージで真っ直ぐ立ち、腕を90度に曲げて大きく振るように心がける。その腕の振りで自然に出る歩幅が理想的です。腕を大きく振ると上部体幹の柔軟性が養われ、何かにつまずいたりしても転ばずに踏ん張ることができる」