「実は母も生前遺影撮影をしました。母には記念写真と言ったのですが、気づいていたようで“生前に遺影を撮ると長生きするのよ”って」
その言葉どおり、母は101才まで長生きされたと、懐かしそうに語るのはシニアモデルとして活躍している照井邦子さん(75才)。
「あの時の母、カメラの前でとてもうれしそうだった。人に見られると緊張するけれど、輝けるんですよね。特に人とのかかわりが少なくなる高齢者にとっては大事な緊張感。母のいつになくイキイキとした笑顔を思い出します」(照井さん・以下同)
そんな照井さんも今年、後期高齢者に。今も現役でモデルの仕事をこなし、オフの日も社交ダンスやコーラス、書道などに大忙し。さすが背筋はピンと伸び、歩くのも速い。そしておしゃべりも軽やかだ。
「プロのモデルはカメラの前で演技をしていると思われますが、実はカメラを通すと日頃の生活がお見通しなんです。やさしい気持ちでゆったり暮らしているか、ギスギスとストレスをためていないか。私は60を過ぎてからモデルの仕事を始めましたから、気分が落ちないように、“自分で自分を奮い立たせる”ことを常に意識しています」
テレビなどを通して見る照井さんは、明るく華やか、そして幸せそう。プロならではのコツがあるのだろうか。
「簡単な方法は、カメラの前に立ったら即、美しいものをイメージする。たとえば花畑や雄大な自然、定番のイメージを持っておくといいですね。 そしておもしろいこと。思い出して笑っちゃうこと。私は大好きな“笑点”からネタを収集してます(笑い)。
もう1つは素敵な男性。その人を想像し、ほのかな思いを胸に秘め、ときめきを感じる。年を取ったらそんなこと…などと思ってはダメ。恋する表情はいくつになっても魅力的です」
自然な笑顔は意識すると意外に難しい。