国際情報

中国のネット規制強化に苦言呈した編集長への称賛と心配

歴史ある銭湯が危機に

ネット規制が強まる中国

 中国では10月1日に建国70周年記念日(国慶節)を迎えたが、この前後の大型連休期間中はとくにインターネットの規制が強まっており、中国内のネットユーザーの不満とストレスが高まっている。

 とりわけ、中国共産党機関紙『人民日報』傘下の国際問題専門紙『環球時報』の胡錫進編集長が中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」上に書いた率直な意見がネット上で話題になっている。同氏は、「国慶節が近づくと、海外のネットの接続がますます難しくなり、これでは環球時報の編集作業にも影響が出てしまう」と書いた。あまりにも多くの読者が拡散したためか、胡氏のつぶやきは2時間後に削除されてしまっており、むしろ、中国のネット規制の厳しさを物語る結果となった。

 米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」によると、胡氏は当局によるネット規制について、「(当局は)大衆を信じることが重要だ。中国社会に海外のネット空間を多く残してほしい。これは国益にも有益だ」と書き込み、当局のネット規制緩和と情報や表現の自由の重要性を強調した。

 こうした規制に職務上深刻な被害を受けているのが、中国国内で米国を中心とする外資系企業に勤める中国人従業員だ。RFAは「中国内では米国の政府機関のほかにも、企業のホームページにすらアクセスできないようにされている場合もあり、米国企業に勤める中国人従業員は本社のメールを読むことができず、仕事に支障が出ている」との実態を明かしている。

 また、RFAによると、胡氏はネットだけでなく、国慶節前後の地下鉄などの公共交通機関や公園や観光名所、公的な場所でのセキュリティチェックについても苦言を呈したという。微博では「検査の範囲がとても広い。軍や党、政府の施設などを除いて、特殊でない場所でも検査がやり過ぎており、大きな疑問を抱いてしまう。これでは、多くの労力を浪費している。このような労力を社会に不満がある人々を慰めることに使えば効率的だ」とも指摘している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン