旅行に出かけるときのチケット手配で、飛行機の座席をどこに指定するか。「窓側」と「通路側」で好みの分かれるところだろう。だが、事故が起きた時、“座った場所”によってリスクに差が生じることがある。
操縦する人がどれほど安全を図っていても、事故はゼロにはならない。万一の際、生死を分ける「安全な席」、「危険な席」はどこか。数々の調査データをもとに、その傾向を探った。
今年7月、KLMオランダ航空のインド支社がSNSに「後方座席が最も安全です」と投稿し、大騒ぎになった。KLMは12時間後に投稿を削除したが、その“元ネタ”となったのが、米誌『ポピュラーメカニクス』と『タイム』がアメリカ国家運輸安全委員会(NTSB)のデータをもとに合同で行なった2007年の調査だ。
調査は1971年以降に発生した航空機事故で、死亡者と生存者が混在するケースを対象に行なわれた。その結果、後方座席の生存率は69%、主翼のある中央座席は56%、前方の席は49%となった。
その後『タイム』が1985年以降に起きた17の航空機事故を独自調査したところ、後方座席の死亡率が32%だったのに対し前方は38%と、こちらも同様に後方が安全だという結果だった。
2012年には、米映像配信大手「ディスカバリーチャンネル」が、ダミー人形を乗せたボーイング727を通常の3倍の降下率で強行着陸させる実験を敢行。地面に叩きつけられた飛行機は、機首が折れ曲がる形で真っ二つになった。