プロ野球シーズン終盤、思うような結果が出なかったチームのファンは、活躍しなかった選手に対して「ヒット1本いくらだ?」「アウトひとつ何百万かかってる?」という愚痴もいいたくなるだろう。では、本当に費用対効果が悪いのは、いったい誰なのか。
集計は『プロ野球なんでもランキング』(イースト・プレス刊)などの著書があるライター・広尾晃氏に依頼した(今季データは9月24日現在のもの)。「アウト1つ取るのにいくらかかったか」で算出した投手について紹介する。
図を参照していただきたいが、投手では、億プレーヤーにもかかわらず、一度も登板しなかった選手が4人いた。その中で最も高年俸は、5億円のサファテ(ソフトバンク)だ。
「2017年にはシーズン最多記録の54セーブを達成したものの、昨年4月に右股関節のケガで登録抹消されて以来、2シーズンを通してまったくチームに貢献できていません」(広尾氏)
他の登板ゼロの3人は、ソフトバンク・スチュワート、西武・内海哲也、日本ハム・マルティネスだった。
登板機会があった投手の中で最も高くついたのはソフトバンクのバンデンハーク。6月4日の中日戦で腰痛からの復活白星を挙げたものの、直後に右肘の張りを訴えて登録抹消。わずか2勝では、年俸4億円はさすがに高すぎた。
「ソフトバンクからはストッパーの森唯斗も9位にランク。高額年俸の救援投手はどうしても効率が悪くなる傾向があります。今季も2年連続の30セーブをマークしたが、シーズン前半に右背中痛で戦線離脱していなければワーストランク入りは免れたはず。とにかく今季のソフトバンクは脇役にも高い年棒を払っており“無駄金”が多かった」(同前)
コスパの悪さは巨人も負けていない。マシソン、クック、野上亮磨らに加え、昨年まで2年連続の沢村賞を獲得した菅野智之もワーストランク入り。
「腰痛による不調を抱えながら2ケタ勝利をマークしたものの、球界最高年俸の6億5000万円に見合う成績とはいかなかった。
昨年は年俸4億5000万円で202イニングを投げ、1アウトあたり約74万円と素晴らしいコスパでしたが、今季は年俸が2億円上がったのに136イニングしか投げられなかった」(同前)