乗り物で出かけて事故が起きた時、“座った場所”によってリスクに差が生じることがある。運転する人がどれほど安全を図っていても、事故はゼロにはならない。そこで、万一の際、生死を分ける「安全な席」、「危険な席」はどこか。最も身近な乗り物である自動車における傾向を探った。
乗用車やバスでは、「左側」の座席が高リスクだとされる。『JAF Mate』前編集長の鳥塚俊洋氏がいう。
「一概にいえないが、日本は左側通行でガードレールや電柱など車外の構造物が左側に多いのと、突然の飛び出しなどで反射的によけた場合、運転手の反対側の方が高リスクになることはありそうです」
2012年、群馬県の関越自動車道を走行中の長距離バスが高さ約3mの防音壁に衝突、乗客7人が死亡、39人が重軽傷を負う事故が起きた。原因は運転手の居眠り。この事故でも死亡者のほとんどが左側の最前列から5列目までに集中していた。
「最近のバスは、スケルトンボディという鳥かごのようなフレーム構造が主流になったことで、窓ガラスの面積が非常に大きくなりました。このため、もし横転事故などでガラスが割れた際を考えると、車外放出や、ガラスの破片によるケガのリスクは、“車内中ほど、右側の通路側”が比較的小さくなりそうです」(鳥塚氏)
市街地を走る路線バスでも事故は起きる。2018年10月には横浜市内の国道を走る路線バスが、道路脇の柱や前方の乗用車に次々と衝突。バスに乗っていた高校1年生の男子生徒が死亡したほか、乗客4人が重軽傷を負う事故があった。路線バスにはシートベルトもなく、立ったまま乗車することもあるため、軽微な事故でも負傷するリスクは大きくなる。自動車評論家の国沢光宏氏が話す。