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千葉の国道沿いに実在する「怪しすぎる中華料理店」の正体

黒工コミュニティには工事現場から中華料理店までさまざまな求人がある

 ただ、彼らの日常をうかがい知る手段はある。中国のチャットアプリ『QQ』の技能実習生コミュニティや黒工コミュニティをのぞいてみればいいのだ。そこには、たとえばこんな投稿があふれている。

〈東京周辺、工事現場、日給1万~1.8万、黒工OK。〉〈偽造身分証制作、在留カード、保険証、運転免許ほか。格安、高技術。〉

 ほかに携帯電話の加入や住居の賃貸契約の偽装代行、中国人向けのヤミ金情報なども多い。

 そして、私が訪れた中華料理店も、このコミュニティに求人を投稿していた。投稿の内容の真偽を確認したいと考えて、私たちは千葉県の畑の真ん中までやってきたのである。

「ああー。たしかに黒工コミュニティに求人投稿を出したよ。ここは田舎だし、働いてくれる中国人がいないから、コックでもホールスタッフでもいいから人手が欲しくてね」

 勘定のときに中国語でおばちゃんに尋ねると、気さくな様子であっさりと事実を認めた。

「でも、募集に誰も応じてこなかった。うちの店は実際には黒工を雇っていないよ」

 言葉通りに信じていいかは微妙なところだ。ただ、黒工をあえて雇うような中国人の側も、中華料理店を経営しているのに「ラーメン」をカタカナで正確に書けないくらい、日本ナイズされていない人たちであることはわかった。

 おばちゃんに尋ねたところ、こうした格安系の中華料理店には在日華人の元締めがおり、フランチャイズの形で出店しているという。千葉県S市というマイナーな場所に店を出したのも、元締めから紹介されたためだという。

 日本の田舎ならどこにでもあるような、国道沿いの中華料理店。その裏側にも、濃厚なチャイニーズ・コミュニティの深い穴が口を開けていたのだ。

香港デモを取材中の安田峰俊氏

*『もっとさいはての中国』(小学館新書)を一部抜粋のうえ再構成。同書刊行イベント「中国ワンダーランドに魅せられて」(安田峰俊氏×星野博美氏対談)が10月13日に旭屋書店池袋店にて行われます。(詳細→https://www.asahiya.com/shopnews/

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