サプリメント(以下サプリ)・健康食品とは、健康増進や疾病予防に役立つ食品由来の成分を錠剤やカプセルにした製品のこと。法律上は、食品に分類される。
サプリや健康食品を利用する高齢者は多く、国の調査では60~70代の3割以上が「ほぼ毎日利用」と回答(『消費者の「健康食品」の利用に関する実態調査』(内閣府 20~79才の「健康食品」の利用者男女1万人を対象に調査 2012年))。
若い世代と比べて頻度や複数種類を利用する率も高い。日常の健康がより切実になる高齢者にとって、サプリは重要なアイテムの1つなのだ。
一方で、商品の数は膨大で、目を引く宣伝文句やピンキリの価格で、自分に合うものを選ぶのは難しい。高齢者ならなおのことだろう。そこでサプリに詳しい医学博士の蒲原聖可さんにサプリとの上手なつきあい方、選び方を聞いた。
ドラッグストアなどには数多くのサプリが並び、どれも“健康のため”にはよさそうで、選ぶのが難しい。
「目的別に整理するとわかりやすいでしょう。まずは『健康維持や増進』のためのサプリ。体に必要なビタミンやミネラル、オメガ3系脂肪酸(EPAやDHA)など、不足しないよう充分に摂ることで健康を整えられます。これはベーシックサプリメントと呼ばれ、年齢や性別にかかわらず、毎日摂りたいサプリです。
また『病気予防』には抗酸化・抗炎症・免疫賦活といった作用のあるウコン、リコピン、大豆イソフラボンなど。さらに『特定の症状対策や改善』として、光刺激から目を守るルテインやコレステロール対策の紅麹、関節症状改善のグルコサミンなど。これらはオプショナルサプリメントと呼ばれ、必要に応じて選ぶとよいものです」(蒲原さん・以下同)
超高齢社会の今、健康を維持・増進したり、病気の手前の未病の段階でしっかり対策して予防することが重要視されている。そこで頼りになるのがサプリだ。
「もちろん、健康長寿の土台となるのは日常の食生活と運動習慣です。魚や肉からたんぱく質をしっかり摂り、油はオリーブオイル、野菜、くだもの、ナッツなどをよく摂る地中海食、白米などの糖質は緩やかにセーブするのが好ましい。
しかし、こんな飽食の時代に、ビタミン、ミネラルなどはどうしても不足しがちです。それは栽培方法の変化の影響で食材自体の栄養が減少していることが一因。ほうれん草などは20年前と比べてビタミンCは半減、ミネラル分も減少しています。さらに食品加工の過程でも減少します。
このような現状では、必要な栄養を食事だけから得るのは難しい。まして食事量が減る高齢者には無理なことです。そこで不足している栄養素だけを効率よく確実に、そして低コストで摂れるサプリを、土台の上にプラスするのが合理的なのです」