大型で猛烈な強さの台風19号が、日本列島に向かって進んでいる。9月上旬に日本列島を襲った台風15号は甚大な被害をもたらし、千葉県を中心に93万戸で停電が起きた。想定外だったのは、“水道やガスに比べ復旧が早い”とされていた電力が、ほぼ全面復旧するまで20日以上を要したことだ。自治体が開設する「充電ブース」にはスマホやガラケーを片手に大行列ができている様子がテレビのニュースなどで流れた。
スマホは、家族との連絡や公的な支援情報の入手などで、災害時にはなくてはならないツールになっている。10月9日の午後、気象庁は緊急で記者会見を開き、12~13日に上陸する見込みの台風19号に対する警戒を呼びかけた。
強風により、台風が直撃する地域では再び停電が起きる可能性はある。停電でスマホの充電ができなくなった場合、1日や2日程度ならモバイルバッテリーでなんとか乗り切れても、それが数日も続くとなればお手上げだ。
停電時にスマホを充電する手段にはさまざまあるが、正解はどれなのか。災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏にそれぞれの評価を聞いた。
◆手回し式の充電器
手回し式の発電機なら必要なのは人力だけなので、万能のように思えるが、実はそうでもないという。
「手回し式充電器は消費電力の少ない“ガラケー”でなら使えますが、スマホを満充電にしようとすると相当に疲れるので現実的ではありません。ラジオは消費電力が少ないので、(情報収集のために)手回し式のラジオは有用です」(和田氏。以下同)
スマホの場合、安定した電力でないと充電を受け付けないので、発電が安定しない手回し式だと非常に効率が悪くなるという。
◆ソーラー式モバイルバッテリー
太陽光に当てておくだけで発電できるソーラー方式は、災害時に役に立つことは間違いないが、一方で充電が遅々として進まないというイメージがある。
「ソーラー方式のモバイルバッテリーはここ数年で非常に性能アップしています。充電に時間がかかるのは事実ですが、要は使い方で、2~3台購入して日の当たる窓際などに置いておいて、停電が起きたときは順に使い、またソーラーで充電するというサイクルを続ければいいのです」
電源コンセントやパソコンなどに接続して充電する一般的なモバイルバッテリーの場合、放置しておくと徐々に放電し、いざ停電となったときに電池残量があまりないということが起こりがちだ。一方で、ソーラー式のモバイルバッテリーなら窓際に置いておくだけで、常に満充電の状態で保てる。1台2000~4000円程度で購入できる。だが、梅雨時など日照が少ない時期に停電が起きたときの不安は残る。