NHKが実施した「国民生活時間調査」によれば、60代男性が平日に家で過ごす時間は、平均で「約15時間」だという。定年後には自宅で過ごす時間はより増えていくが、住環境によって「病気リスク」が変わることはあまり知られていない。「長生きする家」「早死にする家」の特徴と、健康長寿のための“リフォーム術”を調査した。
【×=天井が高い、吹き抜けがある ○=「ファン」「サーキュレーター」で足元の冷気対策】
高い天井や吹き抜けは開放感があるが、冬場には室内の温度管理に注意が必要となる。『「病気にならない家」6つのルール』(KKベストセラーズ刊)の著者で、住環境アドバイザーの上郡清政氏が説明する。
「暖かい空気は上に向かい、冷たい空気は下に向かって足元に滞留します。そのため、吹き抜けのある家や天井の高い家では、“室内の高低温度差”が生まれやすい」
床付近は冷たく、天井に近づくほど暖かくなる──その健康リスクを示すデータがある。
国交省「断熱改修等による居住者の健康への影響調査」によれば、床付近の温度が15℃未満の住宅で生活している人は、16℃以上で生活している人に比べ、高血圧での通院が1.51倍に、糖尿病での通院が1.64倍に増えたという。
また、床上1m以上の室温の低下よりも、床付近の温度が下がった時のほうが、血圧への影響が大きいという結果も示された。
「足元が冷えると、足の動きが鈍り、転倒による骨折や捻挫のリスクも高まります。天井に後付けのファンを取り付けることで、室内の空気を循環させることが重要です」(上郡氏)
天井用のファンは、ホームセンターなどで数千円から購入できる。ただし、取り付けは高所での作業になるため、業者に任せるか、床に置くサーキュレーターを利用する手もある。