実りの秋到来! 旬の魚や野菜をついたくさん買いたくなる季節。そんな時は、「塩フリージング」の出番。冷凍する前に塩を使ってひと手間かけると、あらゆる食材がおいしく長く保存でき、調理が断然ラクになるという。
◆塩で余計な水分を排出してから冷凍する
「そもそも、冷凍保存をすれば食材を長持ちさせられます。しかし、塩ゆでや塩もみをするなど、塩を食材に加えてから冷凍した方が、よりおいしく保存できるんです」と言うのは、塩フリージング考案者の濱田美里さんだ(以下、「」内同)。
肉や魚、野菜の細胞内に水分が多いと、冷凍した時に氷の結晶となる。この状態で解凍すると、水分とともに旨みや栄養まで流れ出てしまう。しかし、塩で下ごしらえしてから冷凍すると、食材の余分な水分が抜けた状態で冷凍されるので、解凍時に食材が受けるダメージが減り、風味が落ちにくいのだ。
「塩をふって冷凍した鶏肉で作る唐揚げは、ブロイラーでも地鶏みたいに旨みが増し、水っぽさがなくなるんです」
野菜も冷凍すると繊維が壊れて火の通りが早くなり、味が染みこみやすくなるので、調理の手間が省け、時短になる。さらに、色みやシャキシャキとした食感が損なわれにくいのも特長だ。お買い得な時に食材を大量に買って塩フリージングしておけば、食費の節約にもなる。
◆かさばる食材ほど塩フリージングが便利
このように、さまざまなメリットがある塩フリージング。具体的にどのように食材に塩を加えたらいいのだろうか。
「基本的に食材の重量に対して1%の塩を使います。少ない塩分でも、冷凍することで食材の内側まで下味がしっかりつくので、調理時に新たに下味を加える必要がなく、無理なく減塩できるのもメリットですね」
これからの季節は、数種類のきのこを交ぜた「きのこミックス」や、鍋や煮物に活躍する大根を塩フリージングしておくと便利だという。冷蔵庫内で場所を取るきのこや大根も、塩フリージングするとかさが減るからだ。また、にんじん、玉ねぎなどの使い道の多い野菜は、「塩ゆでして加熱してから冷凍」すると煮物に、「塩でもんで生のまま冷凍」すると炒め物や和え物に向き、2通りで保存すると幅広い料理に使える。
◆塩フリージングの基本法4
●塩ゆでする
ほうれん草などの葉物野菜やれんこんなどの根菜、煮魚にするような魚の切り身は、さっと塩ゆでしてから冷凍保存すると煮物向けの食材として保存できる。枝豆やとうもろこしなど、解凍後に調理せずにそのまま食べるものは、塩気を少し強めにし、食べ頃の硬さになるまでしっかりゆでてから冷凍する。
・適する主な食材
ほうれん草、れんこん、にんじん、大根、ごぼう、いんげん、アスパラガス、かぼちゃ、じゃがいも、きのこ、ブロッコリー、煮魚にする場合の切り身魚など
【1】鍋にたっぷりの水を入れて煮立たせたら、湯量の1%の塩を加える(1リットルの湯の場合、塩は10g)。
【2】食材を少しずつ湯に入れ、10秒ほどさっとゆでたら、穴のあいたお玉で引き上げる。火の通りにくいじゃがいもなどは長めに約30秒ゆでる。
【3】食材をザルに上げて水気を切る。冷めたら冷凍用保存袋に入れ、重ならないように平らに並べる。ストローを入れて空気を抜いてから袋を閉じ、冷凍庫へ。