「餃子のまち日本一」はどちらか──。宇都宮市(栃木県)と浜松市(静岡県)の熾烈な争いが毎年話題になるが、勝敗を決する根拠となっているデータについては、あまり関心のない人も多いだろう。『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』著者で編集工房レーヴ代表の山田稔氏が、今年の餃子日本一の途中実績と新たな“伏兵”の存在を挙げる。
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「餃子のまち日本一」は、毎年2月に公表される総務省の家計調査の結果を受け、メディアがこぞって「今年の日本一は……」と報じるパターンが定着した。直近の2018年は浜松市に軍配が上がった。
この日本一の根拠となっているのは、家計調査の中にある「1世帯(2人以上の世帯)当たり年間の支出金額」だ。これは、都道府県庁所在地と政令指定都市のデータが、食料品から衣類、授業料、こづかいなど家計に登場するさまざまな品目別に表示されている。その中に餃子があるわけだ。
もっとも、ここでいう餃子の支出金額(消費金額)は、スーパーやテイクアウト店の生餃子や焼き餃子の年間購入金額のことを指す。地元客や観光客が餃子専門店など飲食店で食べた餃子への支出金額は含まれず、ひとつの街での餃子消費全体の額ではない。ちなみに2018年は、浜松市が3501円で宇都宮市の3241円を上回った。
その直後、メディアは「平成最後の“ギョーザバトル”日本一の勝負の行方は?「ギョーザ購入、浜松1位奪還」などと報じ、両市関係者の表情などを伝えていた。
浜松、宇都宮両市のバトルが注目され始めたのは、2007年に浜松市が独自の調査をもとに「餃子消費量日本一」とPRしたころからだ。
家計調査の年間支出金額では、宇都宮市が1996年から2010年まで15年間トップに君臨していたが、2011年に浜松市がトップに立ち、立場が逆転した。その後も両市の激しい首位争いが続いている。
2009年から2018年の10年間の対決結果は次の通りだ。