国内

末端は儲からなくなった特殊詐欺 身勝手な理屈は変わらない

高校卒業後すぐ働いたリフォームの仕事はほとんど詐欺だった(イメージ)

高校卒業後すぐ働いたリフォームの仕事はほとんど詐欺だった(イメージ)

 詐欺で刑務所に入り出所してきた30代男性は、自分がかつて携わっていた詐欺は「金持ちの年寄りを狙っただけ」「お金があるところから、ないところへ動かしただけ」と今も良心の呵責を見せない。しかし、出所後に見た、かつての特殊詐欺の有り様は、まったく別のものに変貌していた。ライターの森鷹久氏が、刑事罰が詐欺の抑止力として十分に働いていない皮肉な状態についてレポートする。

* * *
「お疲れっす。コーヒー頂いていいっすか? あと腹も減ってるんで…なんか食いもんありますかね?」

 開口一番、挨拶もままならぬうちに筆者の前にドカッと腰を下ろす男性。短く刈り込まれ金髪に、白いTシャツとピチピチのダメージジーンズという出で立ちは、某人気歌手グループのメンバーを彷彿とさせる。

「正直、俺のメリットってなんすか? 兄さんのお願いだから仕方ないすけど、結構時間の無駄なんですよね、マジな話」

 東京都在住だというK(三十代)は、筆者がかつて取材をした元暴力団幹部の弟分で、いわゆる「半グレ」メンバーの現役リーダー格。高校卒業後、リフォーム業界で働き、仲間らとともに出会い系サイトを運営する会社を立ち上げた。しかしその会社は「異性紹介事業者」の届出を出していない、会員は全員サクラで利用者から金をむしり取る事だけを目的にした「違法業者」であった。筆者とは年齢が少ししか変わらないが、圧倒的に見た目が若いのは、今も多くの若者たちを使って「仕事」に手を染めているからか。

「リフォームの仕事はほとんど詐欺でしたね。年寄りの話し相手して、リフォームしてもらう。20(万円)で済むところを100(万円)とか200(万円)とる。まあ、そんだけ払える連中からしか取ってないし、向こうも納得してるし、ホワイト詐欺ですよ(笑)」

 あまりに身勝手な言い分に合いた口が塞がらないが、Kはずっとグレー、あるいは完全にブラックな仕事を続けてきた。

「出会い系サイトのサクラだって、欲望まみれのオッサンとかオバチャン騙すだけ。カネは俺らより持ってるでしょうし、ないもんは取れないすから。海外の宝くじが当たったとか、税金の還付金があるってハガキやメール送ったりするヤツもやりましたね。これも結局S(詐欺)だけど、多少カネがあってがめついヤツがかかるんですよ」

 だから心は痛まない、とでも言いたいのだろうか。自分は犯罪行為をやっているが、相手は自分より金持ちで、欲にまみれ、がめつい。だから騙しても良い。そんな理屈だ。派手に犯罪業界を渡り歩いてきたKには、当然「前科」もある。二十代の中頃に、知人から銀行口座を買い受け、反社勢力に横流しし、逮捕されたのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
会見中、涙を拭う尼僧の叡敦(えいちょう)氏
【天台宗僧侶の性加害告発】フジテレビと同じ構造の問題ながら解決へ前進しない理由とは 被害女性への聞き取りも第三者の検証もなく、加害住職の「僧籍剥奪せず」を判断
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
フジテレビが今やるべきは、新番組『怒っていいとも!』を作ることではないか
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
ゴールデンタイムでの地上波冠番組がスタートするSixTONES
ゴールデンタイムで冠番組スタートのSixTONES メンバー個々のキャラが確立、あらゆるジャンルで高評価…「国民的グループ」へと開花する春
女性セブン
中居正広氏とフジテレビ社屋(時事通信フォト)
【被害女性Aさん フジ問題で独占告白】「理不尽な思いをしている方がたくさん…」彼女はいま何を思い、何を求めるのか
週刊ポスト
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《食道がん公表のとんねるず・石橋貴明(63)》社長と所属女優として沈黙貫く元妻の鈴木保奈美との距離感、長女との確執乗り越え…「初孫抱いて見せていた笑顔」
NEWSポストセブン
生活を“ふつう”に送りたいだけなのに(写真/イメージマート)
【パニックで頬を何度も殴り…】発達障害の女子高生に「生徒や教員の安心が確保できない」と自主退学を勧告、《合理的配慮》の限界とは
NEWSポストセブン
5人での再始動にファンからは歓喜の声が上がった
《RIP SLYMEが5人で再始動》“雪解け”匂わすツーショット写真と、ファンを熱狂させた“フライング投稿”「ボタンのかけ違いがあった事に気付かされました」
NEWSポストセブン
中居正広の私服姿(2020年)
《白髪姿の中居正広氏》性暴力認定の直前に訪問していた一級建築士事務所が請け負う「オフィスビル内装設計」の引退後
NEWSポストセブン
これまで以上にすぐ球場を出るようになったという大谷翔平(写真/AFLO)
大谷翔平、“パパになる準備”は抜かりなし 産休制度を活用し真美子夫人の出産に立ち会いへ セレブ産院の育児講習会でおむつ替えや沐浴を猛特訓か
女性セブン
ネズミ混入トラブルを受けて24時間営業を取りやめに
《ゴキブリ・ネズミ問題で休業中》「すき家」24時間営業取りやめ 現役クルーが証言していた「こんなに汚かったのか」驚きの声
NEWSポストセブン