写真家・渡辺達生氏が、晩年にこれまでの人生を祝う意味を込め、葬儀で使用する「遺影」を「寿影」と置き換えて始まったプロジェクトは、『週刊ポスト』のグラビア連載「寿影」として2018年2月から50回にわたって続いた。思い出の品とともに、カメラの前で語られた有名人たちの「理想の死に方」には、夫婦愛に溢れる言葉を語ったものもあった。
「妻が先に逝ったら、3日のうちに会いに行く」
夫婦愛溢れる逝き方を誓ったのは、元NHKキャスターであり、高知県知事を16年務めた橋本大二郎氏(72)だ。現在は講演活動なども行なうが、要職を歴任しためまぐるしい時期と比べると、時間の流れは穏やかとなり、愛妻と過ごす日々の幸せを実感している。
「妻は、あと20年、30年、一緒にいられるといいね、と言っています。妻はボケた話をして楽しませてくれる人。例えば、ミック・ジャガーを肉じゃがと聞き間違えて笑わせてくれるなど、一緒にいると心が和むんです。そんな妻がいなくなったら、寂しくて一人は耐えられませんよ」
終活は身の回りの品の整理、遺言の準備も始め、二人で入る墓も検討中。マンション型の納骨堂タイプがいいか、陽の当たる墓石がいいかなど、夫婦でお寺を巡っての会話も楽しんでいるそうだ。
「知り合いの葬式に行くと、遺影の写真がボケていて残念に思うことがあります。終活の一環として元気なうちに笑顔の写真を撮っておくのは大事だと感じましたね」