激しい異議申し立ての背景には、韓国の若者を取り巻く厳しい経済環境がある。2017年4月の就任以来、文大統領が目玉政策として促進した最低賃金の大幅引き上げと週52時間労働制(従来は同68時間)は、企業活動を圧迫して景気を停滞させた。2018年、韓国の毎月の失業者は平均100万人超に達し、最も不況のあおりを受ける若者の「体感失業率」は今や25%を超えると言われる。
若い世代の経済的困窮は激しく、韓国労働研究院が今年8月に発表した調査結果によると、15~34歳の男女2500人のうち、1か月間の貯蓄が「0ウォン」と回答した層が23%に達した。
こうした若者の苦境を文大統領の政策が救うことはなかった。
「そもそも朴槿恵前大統領を最前線で追及した20~30代の若者は政権交代による政治のクリーン化や景気回復に大きな期待を賭けていました。ところが文大統領と取り巻きの86世代は反日米・親中北政策を進める一方で、肝心の経済政策はまったくの的外れで若者は朴時代以上に貧窮しました。
今年4月に韓国大統領府で行われた文大統領と市民団体・社会運動団体の懇談会では、『全国青年政策ネットワーク』の代表者が『政権が変わっても若者に対する政策は変わらない。若者の生活全般を重視する様子が見られない』と涙ながらに訴えるハプニングがありましたが、文大統領がこの切実な訴えに直接答えることはありませんでした」(勝又氏)
韓国の若者にとって最大の困難は就職である。昨年、日本の大学の新卒者就職率は過去最高の98%だったが、韓国の最近の大卒就職率は7割に満たない。また今年8月の日本の有効求人倍率は1.59倍だが、最近の韓国は0.6倍前後にとどまる。
職に就けず苦しむ韓国の若者が一縷の望みを託すのが、好調な雇用を維持する日本企業への就職だ。たとえば今年6月に韓国貿易協会が主催した合同面接会「日本企業採用博覧会」は、日本企業42社が約100人を選考するのに対して、約1600人の志願者が集まる盛況ぶりだった。