若い女性は大きな“エロス資本(エロティック・キャピタル)”を持ち、それを資本市場でマネタイズ(換金)することができます。それに対して男は、“カネと権力”すなわち共同体内での地位が高くないとモテない。この同性間競争から脱落してしまうと、社会(仕事)からも性愛(彼女)からも排除され、存在そのものを根こそぎ否定されてしまう。こうしてひきこもりになるわけですが、そんな男が一定数いることで平均的な男の幸福度が下がっているのではないでしょうか」(橘氏)
地方から都会に出てきた女性が仕事や私生活に行き詰っても、実家に戻って「家事手伝い」になり、それなりに地域社会に溶け込むことができる(「親の介護に戻ってきて立派」と思われるかもしれない)。一方、30代、40代になった男性が実家に戻って仕事もしていないでいると、「あの家の息子はどこかおかしい」などと評判が立ち、外にも出づらくなり、やがてひきこもりになってしまう――そんな典型的な構図も浮かび上がる。
「男性は社会的な成功と性愛が直結しているので、『持てる者』は『モテる者』になり、『持たざる者』は『モテない』。そんな絶望感が男を追い込んで、最近のさまざまな事件につながっているのではないでしょうか」(橘氏)