開催中のラグビーワールドカップで史上初となる決勝トーナメント進出を決めたラグビー日本代表。強豪スコットランドを28-21で下した1次リーグ最終戦(10月13日)は、テレビで生中継され、平均視聴率39.2%という驚異の数字を叩き出した。
今大会では、具智元(25才)、姫野和樹(25才)福岡堅樹(27才)、松島幸太朗(26才)、といった20代の選手が大活躍しているが、長らく辛酸を舐めてきた30代のベテランも、“最後の輝き”を放っている。W杯3大会連続出場の主将リーチ マイケル(31才)、フッカー堀江翔太(33才)、スクラムハーフ田中史朗(34才)だ。
3人が初出場した2011年W杯は0勝3敗1分け。強豪ニュージーランド(NZ)には7-83の大敗。そんな暗黒時代に倒され続けた男たちが今、立ち上がって世界の強豪をなぎ倒しているのだ。
リーチの父はNZ人で母はフィジー出身。「NZでハーフとして馴染めなくて、日本に移ってもそれは変わらなかった。街を歩けばショクムシツモン(職務質問)。人はよく見かけで判断する。そんな中でどう自分を保つのか」と話す。ラグビーの実力で居場所を確保するのが、生きる手段だった。
W杯初出場の8年前に人生最大の屈辱を味わう。
「リーチは母国NZに大敗し、自分の半生を否定された気分になったそうです」(友人)
その直後に日本代表の主将に任命された。大泉洋主演ドラマ『ノーサイド・ゲーム』(TBS系)で俳優デビューしたエース浜畑こと廣瀬俊朗さん(元日本代表主将、38才)の後釜だった。
「神に誓うな 己に誓え」
「強いチームになるには最強の主将でなければならない」
巨体のスコットランド選手の突進を、タックルでことごとく食い止めた。そのたびに、約7万人の観衆が「リーーーチ!!」と叫んだ。国民的ヒーローは、もう居場所を探す必要はない。
◆すべてを犠牲にし、命をかけてやってきた