国内

即位礼の舞台「皇居・宮殿」の秘密 慣習を破り画期的建築に

平成の「即位礼正殿の儀」の時の、皇居・正殿前の中庭の様子。古装束姿の宮内庁職員らの奥に見えるのが白梅の木。(1990年11月12日、共同通信社)

 10月22日から31日まで、天皇陛下が即位を広く国内外に宣言される一連の儀式「即位の礼」が挙行される。その中でも、最も重要な儀式にあたるのが、22日13時から行われる「即位礼正殿(せいでん)の儀」だ。

 即位礼正殿の儀は、皇居・宮殿の正殿「松の間」にて行われる。松の間は宮殿で最も格式の高い部屋で、今年5月1日、第126代天皇に即位された天皇陛下が皇位とともに伝わる「三種の神器」を受け継がれた「剣璽等承継(けんじとうしょうけい)の儀」も、この松の間で執り行われた。即位礼正殿の儀では、松の間に置かれた天皇の玉座である「高御座(たかみくら)」に天皇陛下が昇られて、即位を宣明される。

 その松の間の前に広がるのが、広さ1450坪以上の「中庭(ちゅうてい)」である。中庭には、三重県の熊野古道に面する七里御浜産の白那智の美しい玉石が約860トンも敷き詰められ、儀式中は、古装束に身を包んだ宮内庁職員らが整然と並び、色とりどりの伝統的なのぼり旗が林立。まるで古代の日本にタイムスリップしたかのような、歴史を感じる荘厳な景観が広がる。

 そんな中庭に彩りを与えるのが、2本の木の存在だ。

「中庭の北東の隅には紅梅の古木、南西の隅には白梅の古木が植えられています。その2本の梅の移植には、“柔軟な発想で新しい宮殿を作りたい”という設計者の願いが込められているように思います」

 そう語るのは、文筆家で歴史探訪家の竹内正浩さんだ。竹内さんは、話題の新著『最後の秘境 皇居の歩き方』の中で、知られざる皇居の内部を詳しく紹介している。竹内さんが続ける。

「現在の宮殿は、昭和43年(1968年)に完成しました。当時、宮殿造営のプロデューサーとして活躍した人物が、宮内官僚で、臨時皇居造営部長を務めた高尾亮一氏です。高尾氏は、新しい時代の、親愛の持てる皇室の在り方に合わせた宮殿ができるよう、宮殿建築における“過去の慣習”を緩和していきました。

 例えば中国から伝わり、明治宮殿(空襲で昭和20年に焼失)にいたるまで固く守られてきた『天子南面』の原則です。天皇は北を背にし、南を向いて座を占めるというという原則ですが、高尾氏は“建物の配置計画を変更してまで固執することはない”と考え、昭和天皇をはじめとした関係者に了解を求めて、その原則を解除してもらい、東を向いた新しい宮殿を建てました。実は、現在の宮殿は、長く様式として守られてきた原則を初めて破った、画期的な宮殿と言えるのです。

 そうした創意工夫により、大人数を招いて開かれる歓迎行事や、戦後に始まった国民の一般参賀行事にも対応した、新時代の皇室に相応しい宮殿が完成しました」

関連記事

トピックス

電撃引退を発表した西内まりや(時事通信)
電撃引退の西内まりや、直前の「地上波復帰CMオファー」も断っていた…「身内のトラブル」で身を引いた「強烈な覚悟」
NEWSポストセブン
悠仁さまの大学進学で複雑な心境の紀子さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、大学進学で変化する“親子の距離” 秋篠宮ご夫妻は筑波大学入学式を欠席、「9月の成年式を節目に子離れしなくては…」紀子さまは複雑な心境か
女性セブン
ニューヨークのエンパイヤ・ステイトビルの土産店で購入したゴリラのぬいぐるみ「ゴンちゃん」は、公演旅行に必ず連れて行く相棒
【密着インタビュー】仲代達矢・92歳、異色の反戦劇を再々演「これが引退の芝居だと思ってもいないし、思いたくもないんです」 役者一筋73年の思い
週刊ポスト
現在は5人がそれぞれの道を歩んでいる(撮影/小澤正朗)
《再集結で再注目》CHA-CHAが男性アイドル史に残した“もうひとつの伝説”「お笑いができるアイドル」の先駆者だった
NEWSポストセブン
『THE SECOND』総合演出の日置祐貴氏(撮影/山口京和)
【漫才賞レースTHE SECOND】第3回大会はフジテレビ問題の逆境で「開催中止の可能性もゼロではないと思っていた」 番組の総合演出が語る苦悩と番組への思い
NEWSポストセブン
この日は友人とワインバルを訪れていた
《同棲愛を本人直撃》TBS報道の顔・山本恵里伽アナが笑顔で明かした“真剣交際”と“結婚への考え”「私なんかと、貴重な時間をずっと共有してくれている人」
NEWSポストセブン
永野芽郁の不倫騒動の行方は…
《『キャスター』打ち上げ、永野芽郁が参加》写真と動画撮影NGの厳戒態勢 田中圭との不倫騒動のなかで“決め込んだ覚悟”見せる
NEWSポストセブン
電撃の芸能界引退を発表した西内まりや(時事通信)
《西内まりやが電撃引退》身内にトラブルが発覚…モデルを務める姉のSNSに“不穏な異変”「一緒に映っている写真が…」
NEWSポストセブン
山本アナは2016年にTBSに入局。現在は『報道特集』のメインキャスターを務める(TBSホームページより)
《TBS夜の顔・山本恵里伽アナが真剣交際》同棲パートナーは“料理人経験あり”の広報マン「とても大切な存在です」「家事全般、分担しながらやっています」
NEWSポストセブン
入院された上皇さまの付き添いをする美智子さま(2024年3月、長野県軽井沢町。撮影/JMPA)
美智子さま、入院された上皇さまのために連日300分近い長時間の付き添い 並大抵ではない“支える”という一念、雅子さまへと受け継がれる“一途な愛”
女性セブン
交際が伝えられていた元乃木坂46・白石麻衣(32)とtimelesz・菊池風磨(30)
《“結婚は5年封印”受け入れる献身》白石麻衣、菊池風磨の自宅マンションに「黒ずくめ変装」の通い愛、「子供好き」な本人が胸に秘めた思い
NEWSポストセブン
母の日に家族写真を公開した大谷翔平(写真/共同通信社)
《長女誕生から1か月》大谷翔平夫人・真美子さん、“伝説の家政婦”タサン志麻さんの食事・育児メソッドに傾倒 長女のお披露目は夏のオールスターゲームか 
女性セブン