高級牛肉を期待して「ふるさと納税」したのに、届いたのは“脂身の塊”だった……この数週間のうちに、そんな「返礼品」を巡るトラブルが続発していた。
宮崎県美郷町の返礼品「宮崎県産黒毛和牛薄切り800グラム」を巡って10月5日、受け取った都内の男性がツイッターに、パック詰めにされた脂身だらけの肉の写真を公開。美郷町は謝罪に追い込まれた。
この返礼品を発送した食肉加工業者の広報担当者がこう説明する。
「加工担当者が多くの業務に追われ、商品として誤った状態のものが発送されてしまいました。代替品もしくは返金という形で対応を進めています」
鹿児島県いちき串木野市の返礼品「鹿児島県産黒毛和牛肩バラ スライス1キロ」でも、「脂身が多い」「発送が遅い」などの苦情が計100件ほど寄せられ、10月10日に市が謝罪した。
なぜ同じようなトラブルが続くのか。ふるさと納税専門サイト『ふるさと納税ナビ』の内田綾子編集長が指摘する。
「ブームが過熱するなか、限られた人員でふるさと納税を担当している自治体では、どうしても管理が行き届かないケースがあります。一方で業者側も『(返礼品の調達価格は)寄付金の3割』という厳しい規制のなかで、コストを削りながら多くの発注に応えようと無理を重ねる。その歪みが現われたのではないでしょうか」