天皇陛下は10月22日13時から「即位礼正殿の儀」で国内外に即位を宣明されるのに先立ち、午前中、ある儀式に臨まれた。「賢所大前(かしこどころおおまえ)の儀」と「皇霊殿神殿(こうれいでんしんでん)に奉告の儀」という極めて重要な儀式である。
それらの儀式は、皇居の中でも特に森深いところにある“皇室の聖地”であり、宮中祭祀が行われる「宮中三殿」という場所で行われた。神聖で神秘的なその場所は、一般の人には非公開である。
文筆家で歴史探訪家の竹内正浩さんは、新著『最後の秘境 皇居の歩き方』の中で、謎に包まれた宮中三殿についても、知られざる秘話を詳述している。竹内さんが語る。
「『宮中三殿』とはその名の通り、賢所(かしこどころ)、皇霊殿(こうれいでん)、神殿(しんでん)の3つを指します。総称として『賢所』と呼ばれることもあります。
皇祖・天照大神を祀る賢所には、皇位と共に継承される三種の神器の1つである神鏡八咫鏡(やたのかがみ)の御分身が収められています。1185年、源平の戦いの最終決戦となった壇ノ浦の戦いの際に安徳天皇とともに海中に沈み、源義経が八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)とともに回収したと言われているものです。
皇霊殿には、歴代天皇をはじめ、追尊天皇(帝位には就かなかったが、死後に天皇の称号を贈られた親王)、皇后、后妃、皇族2000余の皇霊を奉祭しています。
神殿では、天神地祇八百万神(あまつかみくにのかみやおよろずのかみ)を奉祭しています」