天皇皇后両陛下がお姿を見せられる直前、しとしとと降る雨がやみ、雲の切れ間から宮殿に光が差した。その瞬間、東京都心、まさに皇居の上空には、新時代の訪れを祝う美しい虹が架かった。
「国民の叡智とたゆみない努力によって、我が国が一層の発展を遂げ、国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄に寄与することを切に希望いたします」
10月22日13時過ぎ、陛下が即位礼正殿の儀にて、国内外に即位を宣明され、決意を述べられた。国内外から参列した約2000人が見守った。
「午前7時過ぎ、皇居に入られた雅子さまは、雨にもかかわらずお車の窓を全開にされ、光り輝く笑顔を見せられていました。夜に開かれた国内外の招待客を招いての『饗宴の儀』でも、雅子さまはにこやかにおもてなしをされていました」(皇室記者)
雅子さまは御所へと帰られる深夜まで、堂々としたお姿を見せられた。今回の成功を支えたのは、関係者らの入念な準備もあったという。
「これほど多くの海外からの要人が一堂に会するケースは極めて珍しいものです。当日は都内で2万6000人の警察官が警戒に当たっていました。準備段階から全国の警察官が応援に集められ、なかには警備が終わり次第、台風で大きな被害を受けた地域に向かう人もいたようです」(別の皇室記者)
祝福ムード一色の中で、令和皇室が新しいスタートを切った。それは、昭和天皇の崩御によってなされた平成への御代がわりとは違い、今回は約200年ぶりに生前退位が実現したことも大きいだろう。上皇陛下と天皇陛下がいらっしゃる令和の天皇家。そうした新しい皇室の在り方ゆえに、宮内庁内部には戸惑いの声も少なくなかった。
そうした不安の声が、このたびの即位の礼で、にわかに表面化することになった。
◆政府には「パレード行うべき」の声も
当初、即位礼正殿の儀の直後には、国民に直接お披露目するパレード「祝賀御列の儀」が予定されていた。しかし、10月中旬に中部から東日本を縦断した台風19号の甚大な被害を考慮して、11月10日へ延期になった。元宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下晋司さんが説明する。