1990年代後半、「学級崩壊」が大きな社会問題として取り上げられたが、それから20年余り経った今、子供ではなく教師や保護者が原因の「学校崩壊」が起きている。神戸市の市立東須磨小学校で、4人の教諭が20代の男性教諭に暴行を加えた事件。テレビから流れる壮絶な動画に思わず目を背けた人も多かったはずだ。
教育の現場にいったい何が──。教職員間のいじめの実態から、“閉ざされた聖域”の内情を追った。
学校のトップである校長に目をつけられ、大変な事態に直面する例もある。関東地方の中学校に勤務する30代教諭Aさんが語る。
「うちの校長は些細なミスでも教員に罵詈雑言を浴びせ、提出した書類を床に投げつけるような人。『お前なんかいらない。代わりはいくらでもいる』と責め立てられ、うつ状態になる教員もいます。逆らえば、明らかに無理な要望を出してくるなど、嫌がらせがエスカレートするので、黙って従うしかないのです」
生徒との交流の場である「部活」が教員間いじめの舞台となることもある。関西地方の公立中学校の柔道部で副顧問を務める20代教諭のBさんが語る。
「顧問の50代体育教諭は柔道部出身。文化系で線が細く、たまたま副顧問になった私を本能的に嫌いなようでした。練習中は『そんな指導があるか、バカ!』と散々罵倒されました」
Bさんが許せないのは、生徒の目の前で教師の尊厳を傷つけられたことだ。
「練習中に機嫌が悪かった顧問が『柔道は投げ技だけじゃない。お前ら見ておけ』と私の腕を取り関節技を極めてきた。あまりの激痛に『ギャー!』と叫ぶ私を見て顧問と部員は大笑い。その話はすぐに他の生徒にも広まり、私が教室に入ると『オッ、柔道王が来た』とからかいの声が上がるようになりました」