──それから四半世紀、IIJの売り上げは年間2000億円弱となりました。
鈴木:IIJのメインの事業は企業向けのサービスですが、個人向け格安SIMでも当社のシェアは国内3位で、法人向けや家電量販店向け、OEM(他社ブランド品の製造受託)まで含めるとトップシェアとなります。
しかしまだまだ日本における格安スマホ・格安SIMのシェアは低い。海外では25%、ドイツでは50%を超えていますが、日本のシェアは12%ほどにとどまっています。
──普及の障壁は何か。
鈴木:我々のような事業者は「仮想移動体通信事業者(MVNO)」と呼ばれ、通信キャリアに接続料を払って回線を借り受けることで格安SIMサービスを行なっていますが、その接続料がまだまだ高いのです。その算定根拠もよくわからない。接続料が今後もっと下がっていけば、回線品質はもともと海外に比べて日本はすごく優秀ですから、まだまだ伸びると思います。
──フリーテルやDMMモバイルが楽天傘下に入るなどMVNO事業者間の競争も厳しさを増している。
昨年3月から、当社が日本で初めて開始したのが「フルMVNO」のサービスです。「フルMVNO」はコアとなるネットワークの一部を、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクといった通信キャリアの設備を利用せずに自前で運用する事業形態のこと。これによって海外のモバイル事業者と直接接続できるようになるなど、柔軟性の高いサービスが可能になります。