リチウムイオン電池を開発してノーベル化学賞に輝いた吉野彰氏(旭化成名誉フェロー)。同氏の出身大学は「自由な学風」として知られ、異才も多い京都大学。昨年の本庶佑氏に続き、2年連続で京大OBのノーベル賞受賞は快挙といえる。そんな京大は受験人気もぐんぐん高まっている。大学通信・常務取締役の安田賢治氏がレポートする。
* * *
“研究の京大”の面目躍如だろう。昨年に続き、今年も京大(工学部石油化学科)出身の吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞した。昨年の医学部出身で生理学・医学賞を受賞した本庶佑氏に続き2年連続で京大出身者の受賞となった。
これで京大出身者のノーベル賞受賞者は8人になり、東京大学と同じになった。ただ、東大には文学賞2人(川端康成氏、大江健三郎氏)、平和賞1人(佐藤栄作氏)が含まれ、研究業績での受賞ということになると京大がトップだ。ちなみに、私立大出身者はいまだノーベル賞を受賞していない。
その京大だが、最近、受験人気が上がってきている。大学通信の調べによると、10年前と比べて、京大は地元の2府4県(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)からの合格者の割合は55.3%から47.6%に下がっている。いずれの大手大学でも地元志向が高まる傾向にあるが、京大だけは明らかに全国化が進んでいる。
一方、東大の首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)からの合格者の割合は、10年前の43.3%から55.8%に増え、関東ローカル化が進んでいる。地元からの合格者の割合が、10年前と比べて京大と東大で逆転してしまったのである。
人気アップの京大だが、なかでも首都圏からの合格者が増えている。10年前の首都圏からの合格者の割合は全体の6.6%だったが、今年は13.4%に倍増している。