韓国・文在寅政権に暗雲が立ち込めている。庇い続けた“タマネギ男”こと、曹国(チョグク)法相の辞任に続き、韓国世論の批判を集めているのが、ミサイル発射を繰り返されても容認を続ける、度が過ぎた「親北」姿勢である。日本に対し強硬姿勢を貫く一方で、北朝鮮に対しては関係改善を求めて顔色をうかがう──文大統領の「もう一つの顔」について、北朝鮮から亡命(脱北)した作家があげた声を、ジャーナリストの赤石晋一郎氏がレポートする。
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「文在寅大統領は政治的目的のためなら人命をも犠牲にする人物だということを知って欲しく、日本メディアの取材を受けました」
こう語るのは脱北者で作家の李朱星(イジュソン)氏だ。
かつて人権派弁護士として活躍した文在寅氏は、大統領に就任してからも“公正と正義”という価値観を標榜する韓国リベラルの旗手として大統領まで上り詰めた。日韓の懸案となっている歴史問題でも、“被害者中心主義”を唱え、人権派として振る舞っている。
そんな大統領が人命に対して冷淡であるとは、いったいどういうことなのか──。
平壌で生を受けた李氏は貿易の仕事に就いていたが、友人の脱北を助けたために逮捕されかけ、自らも2006年に脱北。NKデザイン協会という脱北者支援団体での活動を続けながら、小説を多数発表してきた。
「私は北朝鮮の過酷な現実を知ってもらうために小説を書き始めました。デビュー作の『ソンヒ』は脱北者の女性が中国に売られ性奴隷にされてしまう実話をもとにした小説。この作品は韓国芸術文化団体総連合会の文学大賞を受賞しました」(李氏)