学校の1クラスに1人はステップファミリー(夫婦どちらか、または両方が子連れで再婚した家庭)の子供がいるといわれる現代。「しつけ」をめぐって夫婦の意見が対立したり、子供と親が衝突することはどんな家庭にもあるが、それが連れ子のしつけとなると、全く違う環境で育った子供と向かい合うため、どこまで踏み込むべきか躊躇する継親は少なくない。
女性落語家の第一人者である露の都(つゆのみやこ。63才)は、39才の時、NTTに勤めていた夫と再婚。2人の実子と夫の連れ子4人の母となるが、中学生になった義娘との関係は楽ではなかったと振り返る。
「食事中に寝っ転がったり、自分の部屋も散らかし放題で、とにかく常識的な行儀ができていなかった。主人は仕事が忙しく、帰宅するのも遅かったため、それまで誰も子供を叱ったり注意してこなかったのでしょうね」(露の都・以下同)
18才の時から落語界の厳しい礼儀作法を叩き込まれてきた都は、「母親として、この子をこのまま世に出すわけにはいかない」と、粘り強くしつけていくことを決意する。しかし、夫は娘をかばうばかりだったという。
「私が義理の娘を叱ると、主人は“娘をいじめんといて”って、やはり、自分の子供を守ろうとするんです。そのたび夫とは話し合いましたが、一度、あきらめて家を出ようとしたこともあります」
当時、都の実子である長男は都の両親の元で暮らしていた。都は、もう1人の実子である小4の末娘を連れて、実家へ帰ろうと考えたという。