突然浮上した“札幌開催”に最も戸惑っているのは選手たちだろう。日本陸連は9月にマラソンの代表選考レースMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)を開催し、中村匠吾(富士通)、服部勇馬(トヨタ自動車)が男子3人枠のうち2人に内定した。
MGCは気温のまだ高い9月に、五輪とほぼ同じ高低差に富むコースで開催され、本番に近い設定で力を発揮できる選手を“一発勝負”で選んだ。
ところが札幌は8月の平均気温が東京より約6度も低く、しかも市内は平坦。環境がまるで違う。住友電工陸上競技部監督の渡辺康幸氏はこう危惧する。
「札幌の条件はスピードランナーに有利です。変更されれば、アフリカ勢が上位を独占する可能性が高い」
折しもケニアのキプチョゲが10月12日、1時間59分40秒という人類初の“2時間切り”を非公認ながら達成した。
「食い込めるとすれば大迫傑選手(ナイキ)です。米国で世界のトップと磨いてきたスピードが持ち味です。中村、服部両選手に勝機があるとすれば、当日が東京並みの暑さになった時でしょう」(同前)