ラグビーW杯で日本代表が史上初のベスト8入りを果たし、列島は歓喜に沸いた。日本ラグビー協会はすでにヘッドコーチのジェイミー・ジョセフ氏(49)に続投要請することを決めるなど着々と4年後を見据えている。そして忘れてはならないのは「どうやって国内にラグビー文化を根付かせるか」だろう。元日本代表でW杯の第1回大会に出場経験を持つ大八木淳史氏(58)が語る。
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今回の日本代表の戦いには感動しました。実際にラグビーの試合を戦ってきた者として、試合でのしんどさ、プレッシャーを知っているだけに、感動したし、涙も流しましたね。
ただ、熱しやすく冷めやすい日本人の気質からいえば、東京五輪が始まる頃には、この感動も忘れ去られることになりかねない。2015年のW杯で南アフリカから大金星をあげたときに脚光を浴びた五郎丸歩(33)だって、存在を忘れられかけている。
サッカーや野球に引けを取らないスポーツとして定着させるためには、まず何より継続的に強い日本代表を作らなければなりません。今回のベスト8は協会とトップリーグのチームが足並みを合わせられたことが大きい。各チームが日本代表を優先する方針に協力したことで、今年だけで240日も代表に選手を拘束できた。他の国ではできない、日本独自の強化方法です。
ボクたちの時代は会社(社会人チーム)優先だった。30歳で30キャップ(代表に選ばれ、テストマッチに出場した回数のこと)に達した時に、神戸製鋼の社長から“もう(日本代表は)ええやろ。うちの連覇のほうが重要や”と言われ、日本代表を辞退した。当時は日本代表より“オール神戸製鋼”のほうが強いとまで言われた時代でした。今とは日本代表の価値観が違っていたのです。