父の急死によって認知症の母(84才)を支える立場となった『女性セブン』のN記者(55才・女性)が、介護の裏側を綴る。
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母と娘(母の孫)は大の仲よしだ。初めての子育て、初めての介護でいちばん奮闘した私を差しおき、母が認知症になってからも妙に通じ合う。何かにつけてイラ立つ私を尻目に、2人はゆる~い蜜月を楽しんでいる。
◆私の知らぬ間に娘を教え育ててくれた母
母が要介護になった時よりも頭を抱えたのは、初めての子育ての時だ。もう17年くらい前になる。
生来の生真面目なところが裏目に出て、何かと“うまくいかない感”に苛まれ、毎日が涙と怒りの連続だった。
見かねた母がよく助けてくれて、休日の仕事の時などは、たびたび実家の最寄り駅で待ち合わせて娘を預けた。
改札での別れ際、娘に大泣きされると私も身もだえするような悲しさだったが、後から母がおかしそうに話すのだ。
「Sちゃん、演技派ね。Nちゃん(私)が見えなくなったらすぐ泣きやんで、“おいしいものを食べに行こう”って言うのよ。私やパパを喜ばせようとするわけ。3才なのにすごく考えているのよね」
母の観察眼も恐れ入るが、祖母だと見るところが違うことにも驚いた。私なら、ウソ泣きかと嘆き、怒るところだ。
「それに家でいんげんの筋取りをさせたら、結構、上手にやるのよ。おもしろがってたくさんやってくれたのよ」
当時私は、家事のアイディアや節約などの取材に追われていたが、自宅で娘に家事を手伝わせるなど悠長なことは、とてもできていなかった。
「そうしたら何て言ったと思う?『おばあちゃん、これ、セツヤク?』って。母親の仕事をちゃんと知っているのね。Sちゃん、天才!」
私が家で気づかなかった娘の小さな成長を、ちゃんと見つけて褒めてくれる。その時は母に一本取られた格好で、なんとなく不機嫌に振る舞った記憶があるが、正直、母には完敗だと思ったのだ。
◆“今のおばあちゃん”の気持ちがわかる孫娘