今年もドラマ『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ)の好演などで話題となった俳優・古田新太(53)。少年時代から芝居の道を志した彼は、近年ではテレビや映画での活躍が目覚ましいが、舞台での芝居も大切にしているという。この10月に発売された、表現者31人に迫ったインタビュー集『硬派の肖像』の中で、芝居への熱き思いを語った古田の声を抜粋してお届けする(初出は雑誌『Precious』2013年8月号)。
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昼下がり。開店までにはまだ時間があるぼんやりとした飲み屋横丁に、ぶらりと古田新太が現れただけで、ただならぬ景色となる。その野太い存在感。「酒? 飯がわりっす」と言いつつ、にんまりと含み笑いをする無類の芝居好きは、この夏(2013年)、24年ぶりに再演される唐十郎の衝撃作『盲導犬』に主演、盲人役を演ずる。
「念願の唐さんです。アングラ独特の、あの意味のわからないせりふを朗々と喋れるというだけで、もう、ただわくわくする。だけどわくわくする戯曲は逆に怖い」
1970年代を熱狂させた、その伝説の舞台を演出するのは、演劇界を刃のごとく牽引する蜷川幸雄。
「舞台にはこけおどしってもんが必要だと思う。蜷川さんはそれができる。恐ろしいジジイです(笑)」
言葉にいちだんと熱がこもるのは、昨今の舞台に対する不満から、らしい。
「最近は小劇場でさえわかりやすい芝居ばかりで、全然面白くないんです。ああいうつまらないものを見せてしまったら、たとえば500人のお客さんの10人ぐらいはまた来てくれるだろうけど、あとの490人は来ねえぞ、それをやってしまった責任は重大だぞって思う。普通の話や演出をやるなら舞台から去れっ! て言いたい。もっと何か、ざわざわと異形の感じがあってこそ芝居」