秋篠宮家に悠仁親王が誕生して以降、女性宮家の創設や女性天皇など、安定的な皇位継承のための議論はすっかり影を潜めている。アメリカにおける近現代天皇制研究の第一人者で、『天皇論「日米激突」』(小林よしのり氏との共著。小学館新書)や『国民の天皇』(岩波現代文庫)などの著書がある米ポートランド州立大学教授のケネス・ルオフ氏は、このままでは皇位の継承は難しくなるのではないかと語る。
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──日本の右派は、男系継承が皇室の伝統で、女性天皇や女系天皇は認めないと主張しています。
ルオフ:今の皇室がすべての伝統を守ろうとしていたら、側室制度も維持したはずです。しかし、今の時代にそぐわないから側室という伝統は捨てたのです。人間は社会ができたときから、どういう伝統を残すか、捨てるか、取捨選択しながら生きてきました。熟考したうえで、今の時代に合わない伝統は捨てればいいし、それに意味があるのなら残せばいい。
先日、世界の王室の継承に関する法律を調べたのですが、小国を除いた王室のある国で男系男子継承を採用している国は、サウジアラビアなど数か国しかありませんでした。サウジアラビアの国王は男性しかなれませんが、一夫多妻が認められているので、王位継承権をもつ王子が非常に大勢います。しかし、日本では一夫多妻は認められていませんね。
スペインやブータンの王室は今でも男性優先ですが、後継者がいない場合は女性でも国王(女王)になれます。英国は、昔は男性優先で男性の継承者がいない場合に女性が女王になる制度で、エリザベス二世女王もそれで女王になったのですが、今は初めて生まれた子供が国王になる制度に改めています。
男女平等がグローバル基準になっていくなかで、日本とサウジアラビアなどだけが男系男子にこだわっていますが、それでいいのでしょうか。