10月30日、『太川蛭子の旅バラ』(テレビ東京系)は、マドンナに宇垣美里を迎えてローカル路線バスを乗り継ぐ『バス旅2019』を放送。4月開始の同番組で最高視聴率の8.1%(ビデオリサーチ調べ/関東地区。以下同)を記録した。6月13日の同企画では2.9%まで落ち込んでいた数字が、なぜ劇的な回復を見せたのか。
芸能研究家で、『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)で『NHK紅白歌合戦』や『教師びんびん物語』などの視聴率分析もしている岡野誠氏がその背景を考察する。
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高視聴率のヒントは、蛭子能収のポロッと発した一言に隠れていた──。
2年前に終了した不定期の人気番組『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』をリニューアルし、今年4月から『太川蛭子の旅バラ』がレギュラー化された。当初『ローカル鉄道寄り道旅』などを放送したものの視聴率が上がらず、5月に『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』を再スタートさせた。
それでも、数字は芳しくならない。復活第1弾である5月16日は、日程が3泊4日から1泊2日に変更され、マドンナは1日目かたせ梨乃、2日目中川翔子という交代制になった。第2弾の6月6日、13日も日程は1泊2日のままで、マドンナは鈴木奈々1人だったが、途中からゲストとして中村雅俊が登場した。それでも、視聴率は5.2%、3.8%、2.9%と落ち込んでいった。どうしてか。
『バス旅』の良さは“緊張感”にあった。年齢も考え方も異なる3人が1つのゴールを目指して3泊4日も旅をすれば、必ずや衝突が起こり、予想だにしないハプニングにも見舞われる。
だが、1日で人が代わったり、途中でゲストが入ったりすれば、緊張感が緩和されてしまい、平穏なまま終わってしまう。これらの方式は、往年の『バス旅』の持ち味を消してしまっていた。
7月25日の放送からは従来通り、太川・蛭子コンビと女性ゲスト(通称・マドンナ)の3人だけの旅に戻した。すると、6.3%とこの時点での『旅バラ』で最も良い視聴率が出た。