放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、書店や駅で出会った「読書の秋」についてお送りする。
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「なんで東京でマラソンやらねぇんだ」。バッハは死ななきゃ治らねぇってか……アッこれは浪曲「森の石松」での名文句「バカは死ななきゃ治らねぇ」のシャレです。近頃はおやじギャグなぞと言われ、洒落も説明しなくちゃならない。
さて読書の秋です。恒例神田神保町は古本まつり開催中。ワゴンながめながらプラプラ行けば大型書店。そうだ、私の新刊『面白い人のことばっかり!』(小学館)発売日だと気付き、さてどの辺にちゃんと並べられているのだろうとながめれば、目に飛び込んで来たのは600頁を越えるぶ厚く貫録のある本。「ハハーッ」とひれ伏し手に取る『全著作〈森繁久彌コレクション〉1』。
「道」と題して、名優であり文人でもあった森繁没後10年記念での発刊。「自伝」がまとめられている。全5巻の予定のようで2巻は「人」と題して「芸談」がタップリ収められる予定。これだけのページ数、立ち読みという訳にもいかずすぐにお買いあげ。発行は藤原書店。
なにやらこの導入の仕方、今話題にも問題にもなっている京都と吉本と漫才師ミキの税金使った“ステマ”とか言うヤツとは違いますからネ。本も自腹で買っとります。