3連勝で国際大会「世界野球WBSCプレミア12」の1次ラウンド首位通過を決めた侍ジャパン。四番・鈴木誠也が2打席連続本塁打を放つなど打線は絶好調。投手陣も盤石で、11日から日本で始まるスーパーラウンド(2次ラウンド)へ弾みをつけた。代表チームを率いる稲葉篤紀・監督への評価もうなぎ登りだ。
「短期決戦となる国際大会では、選手の好不調の見極めが何より大切。稲葉監督は、勝負所で次々と手を打って流れを引き寄せた」(スポーツ紙記者)
象徴的だったのが、初戦となったベネズエラ戦(5日)の逆転勝利を引き寄せた終盤の采配だろう。
2点のビハインドで迎えた8回。1死満塁のチャンスで、それまで4打席ノーヒットと当たりのなかった一番打者の坂本勇人(巨人)に代え、山田哲人(ヤクルト)を代打に送ったのだ。山田はあわや満塁弾という大ファールをレフトポール際に打った後、落ち着いて押し出しの死球を選んだ。ここで一気に試合の流れが変わり、侍ジャパンは一挙6点を奪って勝ち越しに成功した。
しかし、この名采配に意外なところで“物言い”がついた。稲葉監督は代打・山田を球審に告げる際、口に両指をくわえ、指笛を鳴らして主審を呼びつけ、ジェスチャーだけで申告したのだ。別のスポーツ担当記者がこう懸念する。
「選手の交代を告げる際は、監督が自ら球審のところまで出向いて申告するのが常識です。国際試合では考えられない行為だったようで、海外のメディアや、ベネズエラの選手たちも驚いていた様子でした。きっとアンパイアもいい気持ちではなかったのではないか。国際試合では審判団の心象を損なうと不利になることが少なくない。これがスーパーラウンドの大事な局面で影響しなければいいが……」