大権力者2人が本気で闘い始めたら、どちらか一方が倒れるまで終わらない。それが権力闘争の“定め”だろう。
側近2人の辞任で“影の総理”菅義偉・官房長官は窮地に立たされ、“表の総理”の安倍首相はここぞとばかりに攻勢をかける。だが、このまま勝負がつくと考えるのは早すぎる。なりふり構わぬ闘争は「次の展開」を迎えた──。
◆法務省の職員が回収
菅原一秀・経産相と河井克行・法相の辞任を大新聞はこぞってこう書き立てた。
〈また「菅人事」で失敗 辞任ドミノ、ポスト安倍に影響も〉(10月31日付、朝日新聞)
〈「側近閣僚」の相次ぐ引責辞任は、菅氏にとっても大きな打撃となりそうだ〉(10月31日付、読売新聞)
極めつきは、自民党内に流れている安倍首相が漏らしたとされる一言だ。「これで菅も終わりだな」。
そんな発言が伝わっていること自体、安倍首相と菅氏という権力者2人の関係が決定的に悪化していると永田町では受け止められていると物語っている。
だが、現実の権力闘争は総理大臣と“影の総理”が正面切って弾を撃ち合うわけではなく、水面下のもっと隠微で複雑な動きとして進行している。菅原氏が選挙区にメロンやカニを配ったという公選法違反疑惑が国会で追及されていた10月中旬、国会議員会館に1通の“怪文書”が配られた。