生活雑貨メーカー・マーナで『トーストスチーマー』(約幅36×奥行き97×高さ46mm/1080円)を開発したプロダクトデザイナーの岩崎有里子さんは、食パンをおいしく食べたいと常々考えていた。
食パンを焼く際、パンの表面に霧吹き等で水をかけるとふっくら焼けるという“裏技”は、岩崎さんも以前から知っており、実践していた。
また、人気の高機能トースターも、水を加えることでふっくらとしたトーストに焼き上げる。この“水分”が重要であると考えた。そこで、従来のオーブントースターでどのように水分を加えて焼き上げるか、2017年10月に開発がスタートした。
約20秒水に浸した後、食パンと一緒にトースターで焼くだけでふっくらしたトーストが楽しめる。また、使用後はそのまま庫内に入れておける。直火やグリル、オーブン、電子レンジでは使えないのでご注意を。
考えたのは、素焼きの陶磁器を食パンと一緒にトースターに入れて焼くこと。岩崎さんは、美術大学で陶芸を学んだ経歴があるため、素焼きが水分をよく吸収し、蒸発するという知識があったのだ。
板状の素焼きの陶磁器を水に浸し、実験を行ってみると確かにふっくらした食感になることがわかった。ただ、よりおいしくトーストを焼くには、素焼き自体の表面積を増やして水分を多く含ませる必要があった。そこで考えたのが、山型食パンを模した形だ。
トーストの“ふっくら感”は、焼いたパンの重量の変化を調べて実証した。焼く前のトーストと焼いた後のトーストでは、後者の方が水分が抜けて重量が軽くなるが、『トーストスチーマー』と一緒に焼くことで水分が保たれ、焼く前の重さにより近くなるというわけだ。