重大疾患を早期に発見・治療するには、自分自身が「五感の異変」にいち早く気付くことが大切だ。
すでに重大疾患が進行し始めている“前触れ”が、五感の一つ“味覚”の変化として表われるケースも多い。東北大学名誉教授(口腔診断学)で歯科医師の笹野高嗣氏が指摘する。
「味覚は舌で受けた刺激が、脳に伝わって処理されることで感じられるもの。そのため、脳に障害があることが原因で味覚に異常が生じることがある」
脳の障害が原因である可能性のある症状の例として笹野氏が挙げるのは、「口の中の片側で噛むと味がはっきりとわかるのに、反対側だと味がぼやける」というものだ。
「この症状のある患者を診たことがありますが、味覚検査や嗅覚検査でも異常が検知されず、脳神経内科でMRI検査をして初めて脳内で味を感じる『味覚野』の一部が脳梗塞を起こしていたことがわかりました」(同前)
味の感じ方に異変が生じる原因はほかにも、ストレスなど心理的・精神的要因や神経系の異常というケースがある。
「常用薬」が原因のケースにも注意が必要だ。都内在住の74歳男性が言う。