特効薬のない「新たな国民病」である認知症だが、毎年の健康診断だけでは対応が遅れるリスクがある。そこで注目したいのが、日々の「口癖」だ。
何かにつけて「うるさい」「なにやってんだ!」「何度も言わせるな」「もういい」「わかった、わかった」など怒りのフレーズを頻発する人もいる。こうしたイライラ型の口癖を持つ人は、脳に“サボり癖”がついているという。認知症に詳しい蔵前協立診療所所長の原田文植医師が語る。
「スマホや電化製品の使い方が覚えられず、“もういい!”といった言葉が出てしまう方は多い。加齢に伴って筋力が落ちたり、体がうまく動かなくなってもどかしい気持ちになるからですが、考えるよりも先に本能的に反応してしまっている。繰り返していると、脳はどんどん思考や記憶を放棄してしまう」
認知症になりやすい人の性格的特徴について、日本でも研究が進められている。その先鞭をつけたのが、1990年に東京都老人総合研究所副所長(当時)の柄澤昭秀博士が発表した論文だ。認知症の高齢者165人と健康な高齢者376人の40~50歳当時の性格を近親者から聞き取っている。
「明るい・開放的」「劣等感を持ちやすい」「愛想がない」など40項目のチェックリストを使い、対象者の性格を8つのタイプに分類。その結果、認知症の割合が高かった性格タイプの一つとして、短気などの「感情型」が挙げられている。さらに、認知症発症前の特徴的な性格の一つには「わがまま」が含まれていた。