「本土復帰50周年の節目として事業を進めていけるよう、できるだけ前倒しで計画を策定したい」
首里城の火災を受けて11月1日、急きょ上京した沖縄県の玉城デニー知事は、官邸で菅義偉官房長官に再建への協力を求めた後、報道陣にこう述べ、2022年までに再建計画をまとめる意向を示した。
今回の火災では、デニー知事の積極的な対応が目立つ。火災があった10月31日未明は韓国に出張中だったが、日程を変更して午後には沖縄に戻り、その足で火災現場を視察すると、翌日には上京して菅長官らと面談している。
デニー知事の対応には評価の声が上がるが、一方ではその前のめりぶりに“別の思惑”が見え隠れするとみる向きもある。
「デニー知事は、10月に県発注の事業を受注した業者と会食していたことが発覚し、県議会で野党の自民党から激しく追及され、『軽率な行動だった』と謝罪に追い込まれました。
自民党は12月議会でもこの問題をひき続き追及する構えでしたが、首里城の再復元に向けて奔走するのは、それをかわしたいという思いもあるのではないでしょうか。事実、知事を追及している場合ではないという雰囲気が議会のなかでも出てきています」(沖縄県議)
かたや政府・自民党もデニー知事に遅れまいと動いている。11月4日には、衛藤晟一沖縄担当大臣が沖縄を訪れ、首里城の火災現場を視察した。視察後に再建計画について記者らから問われた衛藤大臣は、「(首里城の)所有権は国なので、国が責任を持ってやることが必要だ」と答え、国が主導権を持つという意志を示した。