スポーツ番組のキャスターなどに起用される芸能人は数多いが、その代表格といえるのが中居正広だ。中居は現在、『世界野球WBSCプレミア12』でリポーター役に起用され、高い支持を集めている。その理由について、コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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現在、連日のように『世界野球WBSCプレミア12』の中継が行われていますが、テレビ朝日とTBSの局をまたいで「侍ジャパン公認サポートキャプテン」を務めているのが中居正広さん。
中居さんは主に「ベンチ横のカメラ席でアナウンサーの実況や現役選手らの解説を聞きながら、カウントに余裕があるときを見はからってコメントを入れる」というリポーター役を務めています。国民的なスターであるにも関わらず、選手はもちろんアナウンサーと解説者に次ぐ3番手の裏方に徹していることに、あらためて驚いた人もいるのではないでしょうか。
その姿を見た人々はネット上に「やっぱり中居くんは安定感がある」「スポーツに芸能人はいらないけど中居くんだけは認める」などの声を挙げ、私がヒアリングした民放各局4人のテレビマンもほぼ同様の見解でした。
今やスポーツ中継と芸能人はセットのような位置づけにありますが、なぜ中居さんは誰よりも支持を得られるのでしょうか。来年に迫った東京オリンピックを踏まえつつ、その理由を掘り下げていきます。
◆スポーツ中継では自ら存在感を消す
まず前提として挙げておかなければいけないのは、これまでの実績。
中居さんはWBC(ワールドベースボールクラシック)を含めると、「侍ジャパン公認サポートキャプテン」は今回で4回目。また、2004年のアテネから2018年の平昌まで8大会連続でTBSのオリンピックメインキャスターを務めてきました。
さらに、『中居正広のプロ野球珍プレー好プレー大賞』(フジテレビ系)、『ドラフト緊急生特番!お母さんありがとう』(TBS系)、『中居正広の〇番勝負!』シリーズ(日本テレビ系)などスポーツバラエティ特番のMCを務めるなど、“スポーツ”というジャンルにおける芸能界トップクラスの実績があります。
中居さんは多くのレギュラー番組に加えて、紅白歌合戦の司会を6度も務めるほどの大物タレントでありながら、スポーツ中継では驚くほど存在感がありません。もちろんこれは中居さん自身が競技やアスリートを優先するために存在感を消しているのであり、視聴者たちはそれを分かっているので支持しているのでしょう。
次に挙げたいのは、国際大会の緊張感あふれる空気に合わせる順応性。中居さんがタイミングを見はからったリポートができるのは、アスリートと視聴者、それぞれの心境に寄り添えているからであり、両者をつなぐ架け橋となっています。
あまり知られていませんが、中居さんは事前取材にも熱心。選手や監督の取材時には手書きでメモを取り、多彩な情報を準備した上で、「この状況ならこの情報がいいだろう」と自ら選んで発信しているのです。期待感を加速させる情報、モニターに映らない情報、ホッとひと息つける情報などをスタッフではなく自己判断で出し入れしているのですから、一流のリポーターと言えるでしょう。
◆「オリンピック中継の顔」から外された