今年はレベルの高い大混戦、見どころ十分なレースとなりそうな第36回マイルチャンピオンシップ。競馬ライターの東田和美氏が分析した。
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出走馬の前走を見ると、天皇賞(秋)からの参戦馬が9勝。天皇賞を勝って参戦したのは2頭だけで5頭は着外、皐月賞馬ジェニュインなどは14着だった。天皇賞で好走するようなら普通はJCを目指す。馬は元気だけど天皇賞の内容から2400mは長いかなと見直した馬がマイルCSに回ってくる。
スワンSからは6勝2着9回3着11回で王道路線。馬券に絡んだ26頭のうち19頭はスワンSでも連対を果たしている。しかしここ20年間で勝ったのは10年のエーシンフォワードだけだ。
富士Sからは4勝2着7回。ここ3年で4頭が連対、うち2頭は5着からの巻き返しだった。タフな東京マイルでは5着以下でも、スピードの生きる京都ならと5頭が連対をはたしている。
府中牝馬S、毎日王冠、さらに安田記念からの直行組は過去1勝ずつあげているが、いずれも連対しての参戦。今年の出走馬はこの6つの路線に絞られている。
人気別でみると1番人気馬は10勝2着7回と連対率は5割6分にもなるが、次に目立つのが4番人気馬の7勝2着4回、連対率では2、3番人気を上回っている。
過去30年、人気上位4頭が馬券圏内(3着以内)に絡まなかったことは一度もない。3着以内に4番人気馬までの2頭が入ったことが20回、そのうちすべてが4番人気までだったことが8回もある。
30回のうち21回は単勝三桁。馬連が発売されてからの28回で万馬券は5回しかなく、すべて二桁人気が連対してのものだ。三連単14回はすべて1万円超だが、10万馬券は4回だけだ。
ということで、4番人気までを軸に考えるのが現実的だが、やはり穴っぽいところもチェックしておきたい。
現在騎手リーディングトップはルメール騎手、2位は川田騎手。今回は二人とも人気馬への騎乗だが、マイルCSでは過去人気馬に乗ったこともありながら勝ったことがない。リーディング3位戸崎騎手は負傷離脱中、4位福永騎手は騎乗停止、5位が武豊騎手だが、6位から10位までの騎手の名前は今回の出走表にない。その代わり短期免許で来日した外国人騎手が4人いる。
このレースではルメール騎手やM・デムーロ騎手も含め、短期免許の外国人騎手が過去10年で35回日本馬に騎乗しており2勝2着2回3着2回。確かに昨年はビュイック騎手がテン乗りで5番人気のステルヴィオを勝たせているが、この10年間武豊騎手と岩田康騎手がともに9回の騎乗で2勝ずつあげていることを考えれば、外国人騎手に任せたからといって好結果が出ているとは言えない。しかも岩田騎手は2度とも乗り替わり、人気薄での勝利である。