本来、政治家は言葉に責任を持つ人々、のはずである。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。
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今年も「ユーキャン新語・流行語大賞」の季節がやってまいりました。11月6日にノミネート30語が発表され、12月2日にトップテンと年間大賞語が発表されます。
僭越ながら大賞語を予想すると、本命「にわかファン」、対抗「ONE TEAM(ワンチーム)」、大穴「キャッシュレス/ポイント還元」でしょうか。かすりもしなかったら、見なかったことにしてください。何かの拍子に「闇営業」が授賞して、吉本芸人の誰かが授賞式に登場したら面白いんですけど、それはないでしょうね。
ノミネートされた言葉を見ると、毎年「どうしてあの言葉が入っていないんだろう」と思ってしまいます。今年もしかり。先日取り上げた「責任を痛感」はタイミング的に無理だったとしても、とくに政治家関連の言葉が“冷遇”されているように見えます。小泉進次郎環境相の「ポエム/セクシー発言」はノミネートされていましたが、いじりやすいキャラのにぎやかし的な扱いに過ぎません。
残念ながら(?)ノミネートされなかった言葉にスポットを当てるべく、政治家が発した言葉や政治がらみの言葉を中心に、裏「新語・流行語大賞」のトップテンを選出してみましょう。とっても豊作で10語に絞るのがたいへんでした。
●私家版・裏「新語・流行語大賞」2019年トップテン(順不同)
・天皇、皇后両陛下には末永くお健やかであられますことを願っていません(安倍晋三内閣総理大臣)
・任命責任は私にあります/責任を痛感(安倍晋三内閣総理大臣)
・共産党!(安倍晋三内閣総理大臣)
・発言は承知していない(菅義偉内閣官房長官)
・桜を見る会/各界で功績、功労のあった方々(いちおう菅義偉内閣官房長官)
・身の丈に合わせて(萩生田光一文部科学大臣)
・老後2000万円(金融庁の報告書)
・議事録は作成していない(文部科学省)
・復興以上に大事なのが高橋議員だ(桜田義孝元オリンピック・パラリンピック担当大臣)
・雨男(河野太郎防衛大臣)
こっちはこっちで「あの言葉が入っていない!」と言われそうですけど、本家の30語にもけっして引けを取らない充実っぷりではないかと自負しております。