スポーツ

批判多い2020東京五輪ボランティア募集 ラグビーW杯に学べ

ラグビーW杯2019のボランティアスタッフ(右)。観客と笑顔でハイタッチを交わした(時事通信フォト)

 いよいよ開催まで250日を切った東京五輪・パラリンピック。来年のビッグイベントに向け、東京都が都内の中高生から6000人のボランティアを募集する計画を立てたと報じられた。事前に人数が割り当てられて半ば強制的に参加を求められる学校もあり、専門家からは「ボランティアで大切なのは自発性」との異論もあると指摘されている。

 東京五輪・パラリンピックでは、競技会場で案内などを行う「大会ボランティア」と、駅や空港で観光案内などを行う「都市ボランティア」あわせて約11万人の活動が見込まれるが、「炎天下に無償で働かせるなんてブラック・ボランティアじゃないか」との批判もあり、ボランティアはどうあるべきかが議論されている。

 参考にしたいのは、11月2日に幕を閉じたラグビーワールドカップだ。日本代表の快進撃で「にわかファン」が急増した同大会では、スタジアム内、会場への道中、最寄り駅などにおそろいのユニフォームを着たボランティアが陣取り、満面の笑顔で観客を迎えた。

「こうした人々をスポーツボランティアと呼びます」と語るのは、文教大学人間科学部の二宮雅也准教授だ。

「スポーツを『する』『見る』だけでなく、『支える』人々を総称してスポーツボランティアと呼びます。地域スポーツの指導や少年野球の審判といった実践的な活動から、今回のW杯のようなイベントの運営をサポートする活動まで、その内容は多岐にわたります。運営を支えるスポーツボランティアは、2007年の東京マラソンを機に注目されるようになりました」(二宮准教授)

 ラグビーW杯2019組織委員会によると、今大会は12会場で合計およそ1万3000人のボランティアが参加した。年齢層は10代~80代と幅広く、単純計算で1会場あたり1000人強のボランティアがいたことになる。

 東京、横浜、大阪、熊谷で計13試合をスタジアム観戦した筆者がとりわけ強い印象を受けたのが、すべてのボランティアがみせた「屈託のない笑顔」だ。彼ら、彼女らは常に柔和な表情でスタジアムへの道順を示し、困っている人に声をかけ、観客からの写真撮影の要請に快く応じ、道行く一行に「ようこそ!」と挨拶した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
工藤遥加(左)の初優勝を支えた父・公康氏(時事通信フォト)
女子ゴルフ・工藤遥加、15年目の初優勝を支えた父子鷹 「勝ち方を教えてほしい」と父・工藤公康に頭を下げて、指導を受けたことも
週刊ポスト
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン