11月20日に中京大中京(愛知)の優勝で幕を下ろした高校野球の秋の神宮大会。来春の選抜甲子園での「球数制限」導入を見据え、各校の戦い方に大きな変化が見られた。新著『投げない怪物 佐々木朗希と高校野球の新時代』で、激変する高校野球の現場を描いたノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。
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日本の高校野球は来春、新たな時代を迎える。
明治神宮野球大会が開催されていた11月20日、日本高等学校野球連盟(日本高野連)が4月に設置した「投手の障害予防に関する有識者会議」は、ひとりの投手が1週間で投げられる球数を500球以内に制限するなど、投手の障害予防に関する答申書を日本高野連・八田英二会長に提出した。
これによって来年の選抜大会から球数制限が導入されることが決定的となり、ひとりの投手が一大会を投げ抜くようなことが今後は事実上、不可能となる。
導入の目的は、無論、過密日程による投手の投球過多を防ぎ、肩やヒジの故障から15~18歳の球児を守ろうというもの。導入から3年は試行期間であり、たとえルールに反した投手起用があったとしても罰則は設けないという。
こうした日本高野連の改革を前に、全国の強豪校は既に対策を講じており、複数投手を育成し継投策を機能させた学校しか勝ち抜けない時代に突入している。
この日に行われていた明治神宮野球大会の決勝は、愛知の中京大学附属中京(中京大中京)と、群馬の強豪私学・高崎健康福祉大学高崎(健大高崎)のカードとなり、甲子園において春夏通算11度という最多優勝回数を誇る屈指の名門・中京大中京が4対3で勝利した。
敗れた健大高崎の青柳博文監督は言った。
「点差はわずか1点ですが、力の差は大きい。複数の投手を揃えないと、これからの時代は日本一を獲れない。最低でも2~3枚の投手がいないと」