平成13(2001)年、馬齢表記がそれまでの「数え」から満年齢に変更されるとともに「秋の福島」から4歳(現3歳)未勝利戦がなくなった。競馬歴40年のライター・東田和美氏が、競走馬の世代交代がどんどん早くなっている平成の変化についてお届けする。
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それまでの「秋の福島」では4歳未勝利戦が、1日に最大9レースも組まれていた。一つも勝てなかった馬が、最後の生き残りをかけて紅葉の美しい福島に集結したものだ。この開催で毎年多くの馬が中央での競走生活にとどまる権利を得たが、その後活躍する馬は稀だった。
なかにはフラワーパークのように、デビュー自体が遅く、2戦目でここ(彼女の年は「秋の新潟」だった)を使って勝ち上がり、翌年にGIを勝ったりする馬もいたが、多くは条件馬止まり。勝ち上がった後トントン拍子に出世していく馬は多くはなかった。しかし馬主や調教師、有力馬に恵まれないクラブ会員、そして何より競走馬としては最後の希望だった。
その後、3歳未勝利戦の終了は徐々に繰り上げられる。9月の中山・阪神開催の3歳未勝利戦がキャリア5戦以内、前走5着以内といった限定で行なわれていた。しかし、それも今年からなくなり、3歳未勝利戦は夏競馬までとなってしまった。
一般に中央競馬で1勝できるのは登録された馬の半数弱といわれている。勝てなければ、苦戦覚悟で格上の条件戦に出るか、地方競馬に転出するか、あるいは競走生活に終止符を打つしかない。良血の牝馬ならば、牧場に戻って母親になるという仕事があるが、牡馬にとっては、死活問題、力なきものは去るしかない。
苦労の末1勝しても4歳の6月になると、勝ち上がってきた3歳馬と同じレースに出なければならなくなる。2勝以上の4歳馬も、昨年までは降級制度があり、下のクラスで走ることができて勝ち星を量産していたが、今年から廃止。斤量面で有利な3歳馬と、昨年までに降級の恵みを受けている5歳以上の格上馬と勝負しなければならなくなった。